大手レーベルたちが、ついに音楽生成AIたちを訴える。クリエイティブについて考える。
【音楽生成AIに大手レーベルが”宣戦布告”、法定に持ち込まれた「著作権侵害」の行方】
https://wired.jp/article/ai-music-generators-suno-and-udio-sued-for-copyright-infringement/
・音楽生成AIであるSunoとUdioがアーティストによる楽曲をAIの訓練に無断で用いたとして、大手音楽レーベルが運営元を著作権侵害で提訴
・原告側は侵害された楽曲1件につき最高15万ドル(約2,400万円)の損害賠償を求めている
・Sunoは訴訟前のやり取りで質問された際に、訓練データに著作権で保護された素材を使用したことを否定しなかったばかりか、訓練データは「営業秘密情報」にあたると説明
・「わたしたちのテクノロジーは変革をもたらすものです。既存のコンテンツを記憶して流用するわけではなく、まったく新しいアウトプットを生成すべく設計されています。だからこそ、特定のアーティストに関連したユーザープロンプトを許可していないのです」と、SunoのCEOは語る
・OpenAIのような大手企業も、すでにアーティストや作家、プログラマー、その他の著作権保有者から多くの著作権侵害訴訟を突きつけられている
・レーベル各社がAIに全面的に反発しているわけではない。実際、多くのレーベルがAI企業とのプロジェクトを並行して進めている
・今回の論点は、商業的な見返りなく知的財産が流用されていると、どのような場合に音楽レーベル側が判断するかという部分
以上、記事引用参考
人間のクリエイティブ、AIのクリエイティブ
音楽生成AIと著作権。
音楽家の端くれの私としては、常に注目しているテーマです。
そして、今回、予想通りというか、ついに、
ユニバーサル ミュージック グループ、ワーナーミュージック・グループ、ソニーミュージックグループなどの大手レーベルたちが、音楽生成AIに対し、訴訟を起こしました。
実際、生成された音楽を聴いてみる、マライキャリーの曲とか、そのまんまですよね。。↓
Pretty amazing stuff from the Udio/Suno lawsuits. Record labels were able to basically recreate versions of very famous songs with highly specific prompts, then linked to them in the lawsuits. I made a short compilation here:https://t.co/9Nu7rW7eqD pic.twitter.com/5fQaD0wQ2I
— Jason Koebler (@jason_koebler) June 24, 2024
しかも、このクオリティの音楽が数秒で生成されるとなると、本当に、音楽家はじめ、音楽産業側としては、おそろしい気持ちになります。
これらの音楽生成AIは、過去の音楽たちを学習して作っていると思うのですが、
過去の音楽を学習(影響)して作っているという点では、私たち人間の音楽家と変わらないのかもと思ったりもする私です。
ましてや、
仕事で音楽を作る時は、「既存の音楽の〇〇みたいな音楽を作って」というオーダーを受けて作ることが多いです。
これも、音楽生成AIがやっていることと大差ないのではないかと、私は最近考えたりもします。
ただ、しかし!
どうしても、人間音楽家としては、感情論になりますが、数秒でピピピと学習されて作られてしまうと、ちょっと納得いかない部分があるのも正直なところ。
音楽以外で例えるなら、
壺職人が壺を作る時、
〇〇みたいな壺を作ってとオーダーされたら、人間作家は、その壺を目で見て触って、吸収、学習して、自分なりに壺を作っていくと思うのですが、
AIは、壺をデジタルにスキャニングして、3Dプリンティングでピピピと、数秒で作り出してしまうイメージ。(違いを少し出すために、スキャンした3Dデータの一部を少しだけいじる)
人間は脳や感覚を通して(取り込んで)作り出す感じ
AIはデジタルに取り込んで作り出す感じ
大まかに言えば、どちらも学習(取り込む)という点では同じですが、やはり、まったく同じとは言えないような気がします。
やはり納得いかない感はありますね。^^;
ちなみに、私が納得いかない点は、これらを同じ音楽、同じ土俵で扱われることです。
まあ、これは、人間作曲家の個人的な感情がめちゃくちゃ入っていることは否めないです。
もちろん、私もAIを完全否定しているわけではありません。(自分もAIをツールとして取り込みたいと考えています)
著作権使用料なのか、AIが作ったというラベリングつけの義務なのか、いろいろと制度や仕組みを作っていくことは大事なのではないかと思っています。
いつもテクノロジーの発展のスピードに制度が追いつかないのが現実ですが。。
いずれにせよ、
今回の訴訟はひとつのターニングポイントになりそうなので、注目です。
ではでは
いずれ、遠い未来の教科書には、BC、ACのように、 BAI(AI以前)の音楽、AAI(AI以後)の音楽というような区分けがされるのではないかと私は思っています。それぐらい、今後、音楽の作り方が革命的に変わるでしょう。私、個人的には、今のうちに、BAIの人間の力だけで作る音楽をがんばって作っておこうと思っています。